モグラ対策
モグラとは
モグラはずんぐりとした胴体を持つ。とがった鼻を持ち、眼は退化して小さく視力はほとんどない。また、耳も外見からは見えない。
四肢は短く、前足の掌部は平たく大きくなり、鋭い爪がある。これらは地下で穴を掘って暮らすための適応と考えられる。また、前足は下ではなく横を向いているため、地上ではあまりうまく扱えない。
全身が細かい毛で覆われ、鼻先だけが露出している。尾は短い棒状。
北海道を除く日本全域に生息していますが、東日本と西日本で生息しているモグラの種類が違います。
※普段目にすることの無いモグラの死骸を地上で見つける事があるため、モグラは光に弱いと言われていますが、実際は光に弱いということは無く、昼間でも地上で行動できます。
ただ、モグラは体が何かに触れていないと落ち着かない為、地上でパニックになりエサを探せず死ぬことがあるようです。
モグラの特徴
○一生のほとんどの時間を地中で生活する。
○地中にトンネルを掘り巣を作る。巣の中には、食料の 貯蔵庫や水飲み場、休憩室、避難所などがある。
トンネルの中には、頻繁に行き来する通路とそうでない通路がある。
落ち葉の中で生活し、あまり地中にトンネルを掘らない種類もあります。
○巣を作るために出た土は、地上に出される。(モグラ塚)
○巣の一部が壊された場合は補修する。 異物が入った場合は地上に出す。
○巣に侵入した者を咬み殺そうとする。
○目は退化してほとんど見えない。
○聴覚・臭覚が発達している。(音・匂いに敏感)
○大きな手と鋭い爪を持つ。
○泳ぎが上手く、水辺を泳いで移動出来る。
○エネルギーの消費が激しく、大量の食物を必要とする。
(胃の中に数時間〜十数時間食料が無いと死亡する)
※冬でも冬眠せずに地下深くでエサを探し続けます。
○主食はミミズや昆虫の幼虫・昆虫など
※植物への被害は、トンネルを掘る際に根を傷つけたか、モグラのトンネルをネズミが利用している可能性があります。
モグラによる被害
-
主な被害例
- ● 巣の中に入った植物の根を取ってしまう
根が張りにくくなり植物の生育が悪くなる。
作物を傷つけだめにする。- ● トンネルに侵入したネズミが作物を食べてしまう。
- ● 水田の畦(あぜ)を突き破り水漏れを起こす。
- ● 巣が土の保水力を低下させ、植物の生育が悪くなる。
- ● 畑などの土壌にとって益虫であるミミズが食べられてしまう。
- ● お庭や運動場・ゴルフ場の芝生がモグラ塚で荒らされる。
- ● トンネルに侵入したネズミが作物を食べてしまう。
主なモグラの種類
下記のモグラ以外にも、亜種や別種とされる種類が存在します。種類 | 生息地域 | 特徴 |
---|---|---|
アズマモグラ | 本州(中部以北のほか、紀伊半島、広島県などに孤立小個体群)・四国(剣山・石鎚山)・小豆島・粟島(新潟県) 低地の草原や農耕地から山地の森林に生息 |
主に東日本に分布する日本固有種。 短い尾を持つ 生息する環境により大きさが異なる 絶滅危惧I類(大阪府) 絶滅危惧II類(愛知県) 準絶滅危惧(京都府・鳥取県・広島県・香川県) |
コウベモグラ | 本州(中部以南)・対馬・種子島・屋久島・隱岐など アジア大陸 平地から山地まで広く生息 |
西日本に棲息する大型種で、アジア大陸にも分布。 1つのトンネルを縄張りにして生活をする。 |
サドモグラ | 本州(越後平野)・佐渡島 平野部の農耕地や水田付近、河畔の土壌が深い草原などに生息 |
日本固有種 準絶滅危惧(NT) 越後平野に生息する種はエチゴモグラとも呼ばれる(絶滅危惧IB類(EN)) |
センカクモグラ | 尖閣諸島 | 日本固有種 絶滅危惧IA類(CR) 生息数は非常に少なく、存続が危ぶまれている。 |
ミズラモグラ | 本州(青森県〜広島県) 低山帯から高山帯までの森林に生息 |
日本固有種 準絶滅危惧(NT) 本州からしか発見されておらず、棲息数は少ない。 |
ヒミズ | 本州・四国・九州 低山帯の森林や草原の落ち葉の下に生息 |
日本固有種 モグラに比べ小型、長い尾を持つ。 落ち葉や腐食層に浅いトンネルを掘り、夜間には地表も歩き回る、半地下性の生活を営む。 |
ヒメヒミズ | 本州・四国・九州・淡路島・小豆島・対馬・隱岐など 標高の高い山地に生息 |
日本固有種 頭胴長70〜84ミリ、非常に小型。 はっきりしたトンネルは掘らず、落ち葉の下などで単独で生活する。 |
※絶滅危惧種について(環境省レッドデータブック) 絶滅危惧IA類(CR)・・・ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種 絶滅危惧IB類(EN)・・・IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種 準絶滅危惧(NT)・・・現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に 移行する可能性のある種 地方公共団体や学術団体が発行するレッドデータブックでは、表記が異なる場合があります。 |
モグラの巣
巣の構成
モグラの巣は、「エサを捕る場所」・「エサを蓄える場所」・「休憩する場所」・「水を飲む場所」・「侵入者から身を隠す場所」・「それらを行き来する為のトンネル」で構成されています。
トンネルの中には、縄張りとなる前述の場所を繋ぐトンネルやエサを捕るために掘ったトンネル等があります。 巣の各所を繋ぐトンネルは本道(本管)、エサを捕る場所でエサを捕る為に掘ったトンネルを支道(支管)等と呼ばれています。
本道は何度も行き来しますが、支道はめったに通らなかったり、一度きりしか通りません。
巣を作る場所
モグラの巣は、雨をしのぐため木の根や小高い丘の下を中心に巣を作ります。そこから、田畑(エサのある場所)に向かって塀や木などの障害物に沿ってにトンネルを掘ります。
繁殖期にオスはメスを探すため行動範囲を広げます。
モグラ退治の方法
モグラ退治の前に、モグラは地面の中にいる為、巣(トンネル)を見つける必要があります。○モグラ塚を探す
モグラは巣を作るために掘り出した土を地上に押し上げ、モグラ塚を作ります。
モグラ塚は地表に土が盛られた形で現れるため、見つけやすいです。
○地面の盛り上がりを探す
モグラが浅い地中を掘り進む際、地面が少し膨らんだ形又はひびが入った状態になります。
主に塀などの障害物に沿った場所や、田畑の畦(あぜ)や畝(うね)に見られます。
○本道、支道を確認する
上記の場所を掘ると、トンネルが見つかりますが、トンネルが頻繁に通る道(本道)か、めったに通らない道(支道)なのかを見分ける必要があります。
本道と支道を見分けるには、トンネルを埋めて地面を平らにします。モグラは本道が崩された場合、修復する習性があるので、再びトンネルが出来上がります。
本道は雨をしのげる塀や石の下、畑の境、支道は草木の根元、畑の中に多い傾向がある
- 1、臭いで追い払う
- もぐらの発達した嗅覚を利用し、臭いを発する忌避剤を巣や被害の出る場所に置くことでモグラを別の場所に移動させます。
- 忌避剤を地面に置くタイプ、直接巣穴に差し込むタイプ、直接巣穴に噴射するスプレータイプがあります。
地面に置く忌避剤は、水田の場合は畦に、畑の場合は畝に一定間隔(約2m間隔)で設置します。(忌避剤により間隔は異なります。)
雨や水が掛かると効果が薄れる場合があります。
被害を防ぎたい場所の中心部から徐々に外側に設置すると追い払いやすくなります。
地面に埋めるタイプは、本道に設置すると効果的です。 - 忌避剤を地面に置くタイプ、直接巣穴に差し込むタイプ、直接巣穴に噴射するスプレータイプがあります。
- 2、音波で追い払う。
- もぐらの発達した聴覚を利用し、モグラの苦手な音波を出し、別の場所に追い払います。
音波の発生装置を本道に差し込みます。
土質や土の中の障害物により、音が伝搬しにくい場合があります。
設置後、モグラが逃げ場を探すため、活発に動く場合があります。
被害を防ぎたい場所の中心部から徐々に外側に設置すると追い払いやすくなります。 - 3、捕獲する
- 捕獲器を本道に設置し、進入したモグラを捕獲します。
モグラは匂いに敏感で、いつもの土の匂いとは違う捕獲器の素材や人間の匂いに違和感を感じ、捕獲器を避けて穴を掘る場合があります。 設置の際は手袋をして、捕獲器を土にこすり付けて設置します。捕獲器の中にミミズを入れると、警戒心が弱まり捕獲しやすくなります。
- ※モグラ退治に関するご注意
- ・モグラには絶滅危惧種・準絶滅危惧種が存在します。
捕獲した場合は、離れた自然に帰しましょう。
・モグラを手で掴んだ場合、咬んできますので十分注意して下さい。
・モグラの捕獲は、農林業事業活動に伴い、やむを得ず捕獲等する場合に限り捕獲可能ですが、その他の場合は、原則として環境省又は自治体の許可が必要となります。
・許可は日常的に被害を及ぼし、被害防除措置を講じても、なお被害が防ぎきれない場合や、学術研究の為に例外的に認められるものです。詳細は各自治体にお問い合わせ下さい。